近年、「丁寧な暮らし」や「ミニマリスト」というキーワードと合わせて、北欧の暮らし方に関する話題がセットで語られる場面をよく見かけるようになりました。
シンプルで機能的なデザインの北欧インテリアは常に人気で、幸福度ランキングでは北欧諸国が毎年上位を占めていることから、北欧流の暮らし方を取り入れている方々が年々増えている印象です。
ミニマリズムと心の豊かさを同時に叶えられそうな「北欧流の暮らし方」は、とても魅力的で、生活に取り入れてみたいテーマですよね。
この記事では、北欧のミニマリズムに欠かせない哲学「ヒュッゲ」と「フィーカ」に焦点を当てながら、その魅力と実践方法についてご紹介します。
北欧流ミニマリズム「ヒュッゲ」と「フィーカ」

北欧流のミニマリズムに具体的な定義はありませんが、北欧の暮らし方で大切にされている概念として、「ヒュッゲ」と「フィーカ」というキーワードがあります。
ミニマリズムとして単に物を減らすだけではなく、シンプルでありながらも機能的な空間を作り、自然との調和を重視する、そんな暮らし方を象徴するキーワードです。
ヒュッゲ(Hygge)
デンマーク語で「心地よさ」や「くつろぎ」を意味します。たとえば、お気に入りのスペースでキャンドルを炊いて、好きな本をゆっくりと読むような時間はヒュッゲそのものです。
フィーカ(Fika)
スウェーデンで親しまれるコーヒーブレイクの文化です。単なる休憩ではなく、家族や友人とお茶やお菓子を楽しみながら過ごすひとときを大切にする考え方で、日常の中で自分自身と向き合ったり、周りの人とつながる大切さを象徴しています。
この「ヒュッゲ」と「フィーカ」という考え方が、「少ないもので豊かに暮らす」という北欧ミニマリズムのコアの部分となっており、注目されているポイントです。
「ヒュッゲ」を意識した暮らしとは?

「ヒュッゲ」について、なんとなく概念はわかったものの、自身の暮らしとどうリンクするのかいまいちイメージがつきにくいですよね。
「ヒュッゲはモノではなく、心の在り方」と言われることもあります。現代のストレスフルな生活にも積極的に取り入れたい考え方です。
実は、ヒュッゲを体現するのにはそこまで難しい要素はなかったりします。
北欧でどのようにヒュッゲが意識され、取り入れられているかをご紹介します。
柔らかい照明
北欧の冬は日照時間が短いため、インテリアの中でも照明に重きをおいています。
温かいキャンドルや間接照明を使うことで、リラックスできる雰囲気を作ることができますよ。
特にキャンドルは、ヒュッゲの象徴的なアイテムとして親しまれています。
自然素材を使ったアイテム
リネンやウールのファブリック、無垢材を使ったインテリアなど、自然素材を使うことで、温かみのある空間を演出しています。
また、北欧の家庭では、木目が美しい家具や手触りの良いテキスタイルアイテムなどがよく好まれています。
素敵なテキスタイルのアイテムが、北欧デザインとして日本でもよく好まれていますよね。
家族や友人との時間
北欧では、家族や友人との交流を大切にして、人とのつながりを意識した時間づくりが好まれています。
周りの人と過ごすひとときを意識的に作ることでヒュッゲを体現しています。
北欧諸国で幸福度が高いのは、こういった要素が手伝っているのかもしれません。
「ヒュッゲ」にフィットする北欧デザイン

北欧流のミニマリズムが大きく注目される理由として、美しい北欧デザインも一役買っていると言えます。
シンプルでありながらも、ポップな色合いで親しみやすい北欧のデザインは、見た目のおしゃれさだけでなく、実用性やサステナビリティ面も重視されています。
例えば、私たちにも馴染み深い「イケア」や「マリメッコ」といった北欧を代表するブランドのデザインには「シンプルだけど飽きがこない」という特徴があります。一過性のブームだけにとらわれず、長く暮らしに寄り添い、愛されるようなプロダクトデザインになっています。
また、デザイン面だけでなく、北欧家具やインテリアには環境に配慮した素材が多く使われており、長く使える品質の高さが評価されています。
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目標とアクション – サステナビリティ | Marimekko (マリメッコ) 日本公式オンラインストア

フィンランドの世界的な建築家、アルヴァ・アアルトも、自身の建築物には自然の素材を多用し、人にやさしいモダニズムを追求しました。この考え方は現代の北欧の暮らしにも受け継がれています。
フィンランドの世界的建築家、アルヴァ・アアルトが大切にしたこと(FRaU編集部) | FRaU

これらの要素も加味したうえで、北欧の家庭では「必要最低限以上のものは置かない」という考えが浸透しています。物の少ない空間だからこそ、一つ一つのデザインが引き立ち、使い勝手が良いものが選ばれています。
北欧流のミニマリズムを実践してみよう

魅力的な考え方の北欧流ミニマリズム、ぜひ自身の生活にも取り入れてみたいですよね。
北欧流のミニマリズムは、自分のライフスタイルに合わせる形で、柔軟に取り入れていくことが可能です。「ヒュッゲ」や「フィーカ」の考え方を取り入れる具体的な実践方法をご紹介します。
1. 「ヒュッゲ」な空間を作る
まずは、照明を主体とした空間づくりをしてみましょう。間接照明やキャンドルを取り入れることで、照明を楽しめるお部屋に仕上がり、雰囲気もグッと良くなるのでおすすめです。
また、ソファやベッドに温かい毛布やクッションを置いて、リラックスできるエリアを作りましょう。配置する家具も自然素材のインテリアを選んでみたり、天然繊維のファブリックを取り入れることで、ヒュッゲ感を高めてくれます。
2. モノを選ぶ基準を見直す
必要以上にモノを持たないように工夫してみましょう。思い出の品や、ときめきを感じられる趣味に関わるものだけを厳選し、本当に必要なものだけを残すように意識してみましょう。
配置する家具にはデザイン性と機能性の両方を兼ね備えたものを選んでみましょう。収納力のあるシンプルな家具は、北欧の家庭でも重宝されています。
3. 「フィーカ」を楽しむ習慣を作る
一日の中で「休息のための時間」を作るよう心がけてみましょう。お気に入りのカップで、コーヒーや紅茶をゆっくり味わえるような時間を作ると気分も上がって心身ともに安らげます。
ひとりの休息タイムももちろん素敵なのですが、家族や友人と一緒に時間を過ごせると、さらにフィーカを楽しめますよ。
4. 季節を感じる工夫を取り入れる
自然と共存するのも北欧ミニマリズムに必要な要素。夏は窓辺に植物を飾ってみずみずしく、冬はストーブやブランケットで暖かさを演出し、季節ごとの変化を楽しむ工夫をしてみましょう。
北欧流ミニマリズムで心地よい暮らしを

北欧流のミニマリズムは、モノの価値だけでなく心のゆとりを整える暮らし方です。
部屋を少し片付けてみたり、季節感のあるインテリアを加えてみたりと、できることから少しずつ、自分の生活に「ヒュッゲ」や「フィーカ」の考え方を取り入れてみましょう。
お気に入りの場所でリラックスする時間が、小さな幸せやちょっとした心の安らぎを見つける力を育んでくれますよ。
ぜひ、豊かな暮らしを実現するための参考にしてみてくださいね。
ライター:石井 り佳/Rika Ishee
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